1月1日

あけましておめでとうございます。なかなかこちらではこの挨拶を言う相手がいなくて・・・。「新年快楽!」とはいうけど。年が明けたけど、特にテレビもないし、特別な雰囲気もないので、朝は部屋でゆっくり過ごし、昼には食堂にいつものようにご飯を食べにいく。夕方までカフェや部屋で作業をして、夜から同じ階に住む韓国人留学生と飲みにいく。

北京には韓国人がとても多く、外国人の中で圧倒的な存在感を誇る。ただ、以前から気になっていたのだけど、韓国人の特に男性のコミュニティ意識というか、結束感のようなものがかなり特殊なものなのである。私は、漠然と韓国人のメンタリティなのかなぁと思っていたのだけど、実はこうしたものは徴兵制が韓国社会に根付かせたものであるようだ。

一緒に飲みにいった韓国人に、この点について色々と聞いてみた。韓国でも日本の文化の影響が強く、彼らの軍隊生活の所々に日本の文化の語句が鏤められている。

よく知られているように、韓国では男性は原則、19歳から29歳までに二年間ほど軍隊に徴兵される。これを外界からの離脱と時間感覚の落差から、「精神と時の部屋に入る(ドラゴンボールZ)」といわれている。

そして、入隊したところで待ち構えているのは、軍隊における徹底した秩序のようだ。その秩序の基本となるのは、年齢でなく、入隊時期である。古株であればあるほど、偉くなるようだ。その秩序観が今の韓国人男性のコミュニティの中に、年齢秩序にすり替わる形でしっかりと息づいている。だからとても体育会系ののりなのである。

また、軍隊内での喧嘩はよくある。なにせ、30人一部屋で過ごすとのことを考えれば、無理はない。秩序は存在するが、やはりそこにはちゃんと権力闘争が存在するのだそうだ。しかも、それは男達の戦いだそうで、まるで「クローズZERO」の世界だそうだ。下克上が起こった事件を指して「本能寺の変」というらしい(笑)。

その罰則として、始末書を書かされるのだそうだ。その始末書を彼らは、「デス・ノート」と呼ぶ。デス・ノートを書いてしまうと、誰かがその集団から消えるからだそうだ。

一緒に飲んでいた彼も、一連の経験をしたとのこと。入隊当初は色々といじめにあったが、最後の三ヶ月は古株の彼が、部屋の中の王として君臨し、「デス・ノート」が書かれないように、秩序維持を徹底したらしい。

韓国(の男性)社会で入隊というのは、一つのイニシエーション的な役割を果たしているようだ。その功罪は別としても、とても大きな意味をもっているようだ。

ただ、しっかりとした紐帯と愛国心と秩序観をもった彼らは、見た感じしっかりしたようにも感じるが、どこか捻れてしまっているし、頑なにも思える。

韓国社会というのは最近とてもおもしろく感じる。