9月1日
早朝に目が覚めて、ぼーっとしながら中国のテレビ番組を見る。こちらは日本と違い、地上波でもかなりの番組がある。私はできるだけ日常会話のようなものを話している番組を見たいと思い、チャンネルを繰っていたが、いつの間にか、女性のファッションについてのバラエティ番組のような番組に行き着く。中国の女性のファッション事情は複雑なようである。基本的には欧米の流れを受けているが、やはりチュウゴク人もモンゴル系の身体の骨格のため、アジア的なものにどうしても置き換えなければいけない。そのような試練というか段階を日本や韓国は既に経験している。韓国ではどうやらアメリカの西海岸系のラフなファッションが流行しているようだ。対して日本はかなり独自の道を進んでいると言える。それはそれでいいことだが、今の傾向を私は個人的にあまり良いとは思わない。例えば、ギャル系や安っぽいお姉さん系(えびちゃん的な)、更には化粧の濃いキャバ系なんかは海外からはあんまり評判が良いとはいえない。(ゴスロリなんかのファッションは注目を集めているが・・)中国はファッション的には後進国だったので日本と韓国を選ぶことができた。色々とあるだろうが、概して中国が選んだのは韓国的なファッションの道であると思う。上海の女性が憧れるのは、えびちゃんというよりも、キャップ帽をかぶり半ズボンとサンダルを履いている韓国系の流行を追っているようだ。
以前お世話になったホテルの支配人と世話話をして、北京大学へ向かう。早速、道端の学生にお供してもらい、留学生弁公室へ向かう。まだ到着手続きの日ではないので、とりあえず、寮の手配をしてもらうことになった。やはり二人部屋になる。パートナーは韓国人のようだ。一応、事務員の人に「お前のルームメイトは韓国人だがそれでも良いか?」と訪ねられた。色々な人の話しを聞いていて、あまりルームメイトとして韓国人はよろしく無いということを聞いていたので、嫌だったが、どうせそれで選んでも、良くなるとは限らないので、了解した。部屋は三階で八畳ほどのスペースに机とベッド(とても硬い)が二つずつあるといったかなり簡素な作りであった。でも、それなりに収納スペースがあり、それは助かった。ルームメイトは置き手紙によると、長期休みなので、帰国しているか旅行しているかで不在だった。二週間後くらいに帰ってくるということだ。荷物の量や雰囲気からして、相当長くいる人のようだ。中国語も相当できそうだ。入り口のドアにキレイな写真を張り合わせて十字架を作っていた。どうやらルームメイトはクリスチャンのよう。それを見て若干安心した。クリスチャンで盗人はなかなかいないだろうし。少なくとも道義を大切にするような人物であることは間違いないだろうから。
一通り荷物の整理を終えた後、ルームメイトの家具を参考にしながら、部屋に最低限必要なものをリストアップする。それから事務員に相談して、コンビニに出かけ、色々と買う。かなり購入したにも関わらず、2000円以内で済むところが中国の良いところ。
常備品をそろえたところで、寮内を散策する。一番残念だったのが、水回りの不潔さ。シャワールームは事前に聞いていた以上に不衛生だった。ところどころにカビのようなものが媚びれ付いており、シャワーには首が無く、水道のように出るので、シャワーとはいえないような感じ。鍵も掛けられないほど痛んでおり、浴びる時は鍵を掛けないようだ。もちろんシャワーを浴びる時はサンダルを履いたままで浴びることになる。それに加えて、トイレである。あまり清掃員が真面目に掃除しないからであろう。トイレ周辺は異臭が漂う。便器も汚く、トイレットペーパーも着いていない。持参のようだ。そして、洗濯スペースも汚い。覚悟はしていたが、これほど汚いとは・・・。見た瞬間は怖じけづいた。しかし、なぜか負けん気が湧いてきたので、早速トイレもしてやったし、シャワーも浴びてやった。それで、一年間、やれる気がしてきた。
北京大学はかなり校内が広いので、感覚で私の母校であるKO大学Mキャンパスのおよそ7〜10倍程の広さ。自転車が必要である。自転車は事前情報によるとすぐ盗まれるというので、気合いを入れて高いのを買うよりも、汚いのを安く買うのがいいだろうということで、昼過ぎに事務員に再び自転車を買えるところを訪ねると、近くにあるという。早速行ってみると、自転車のゴミ置き場のようなところにダルそうにしているおっさんが二人寝転がっていた。自転車を買いにきたというと、ダルそうに自転車のゴミの中を案内してくれて、いくつかのゴミのような自転車を指し、ここから一個選べという。選べも何もこれはゴミではないか!と突っ込みたくなったが、仕様がなく、マシなものを選んだ。試しに乗ってみたが、全てがふにゃふにゃしていたし、音はギシギシ鳴るし、本当にこれを買うことになるのかと不安になった。買うからその変わり整備をしてくれとお願いをすると、文句も言わずに、工具をそろえた場所に持っていって、丁寧に治してくれた。色々と注文を付けていると、これは今日中には治らん、明日取りにこい。それまでに完璧にしてやる。ということだった。流石は中国人、融通が利く。交渉の末、多少値引きをしてくれて、日本円で1000円程で購入。
昼ご飯はキャンパス内の餃子屋さんに行く。北京大学の学食は国の支援を受けているらしく、コストパフォーマンスが異様に高い。そのため、皆が食べたがるようで、それを阻止すべく、学食カードなるものが存在し、それは正規学生でしか手に入らない。私はまだ正規学生ではないので、カードをもっていない。昼ご飯は、学生に混じり、その中の一人に助けを求め、お金と引き換えに買ってもらった。餃子18個で70円という破格の値段。日本の10分の1以下の値段である。
空気は冬に来た時よりも数段悪くなっており、早速喉が痛くなってきた。うがい薬は風邪の時用に一つしか持ってきていない。こちらで買わなくてはいけないなぁ。
思ったよりも現地の中国語が聞き取れなかったので、部屋に戻って、中国語の勉強を開始する。キャンパスを歩き回り、また、気を張ったせいか、夜は早めに就寝する。