1月20日

明朝に 景洪(西双版纳)に到着。まだ夜も明けていなかったので、車内で休憩させてもらい、夜が明ける頃に街に繰り出す。

町並みは漢字を除けば、ほとんどタイのようである。人の顔つき、話される言葉、巨大なメコン川などは、東南アジアそのものである。朝にホステルにチェックインする。ホステルには、意外にも日本人が多く、昆明でホステルが一緒だった人に再会する。この旅では、いろいろな所で、一度であった人に再び出会うことが多い。奇遇。

街はほとんどタイ族が中心であるが、他にも漢族やミャンマー人などがいる。ミャンマー人の多くはなぜか宝石業を営んでおり、控えめな客引きをしてくる。北方に比べると、皆穏やかでゆっくり時が過ぎている。

午前中に、暑さ予防のために髪を切りに行く。せっかくだから少数民族に切ってもらいたかったが、散髪業は漢族がやっているという。業種別で民族が変わるというのもおもしろい。結果、ストリートファイターに出てくるザンゲフのような髪型になった。

昼をタイレストランで済まし、そこからさらに南部で山間にある 勐罕(橄攬壩)という場所に向かう。そこは昔からタイ族が多く住み、昔ながらの伝統家屋が街を彩る場所である。バスで1時間ほどラフロードを進み、到着する。

そこで、街をぶらぶらと視察する。時にはかなり原始的な風景を見かける。ペットボトルに糸を括り付けて釣をしていたりする人がいるのである。メコンビールを飲みながら、その小さい街を歩いて回る。ある少数民族のおばさんからヤシの木を買ったついでに、タイ族の伝統家屋に泊めてもらえないか交渉をしてみた。

なんと成功する。しかし、彼女の家ではなく、違う誰かの家である。全部で200元ほど払えば泊めてもらえるとのこと。中国語のガイドブックでは、タダで泊めてくれると書かれていたのに、少し残念。それでも、良い機会だし泊めてもらうか、ということで、お願いすることにした。そうすると、バイクに乗ったおっさん二人が向かえにきてくれて、そのバイクの後ろに乗って、彼らの家に行くことになった。

行ってみるとびっくりで、村のはずれに「傣族园」というテーマパークがあり、そこに暮らすタイ族だったのだ。そこは商業化されて、都市の中国人が農村体験ということで訪れるところだった。ちくしょーと我々は悔しがったけど、今回はシーズンでもないので人も少なく、また人づてに頼んだので、彼らと一緒に密かにテーマパークに入ったので入場料も安く済んだ。まぁ、よしとしよう。

家の中は来客用の部屋などがあり、純粋な家ではないが、それを除けばほとんど一般的な伝統家屋。家族構成は父、母、娘2人、息子1人、そしておばあちゃん一人だった。そのおばあちゃんが曲者で、我々に商売をしてくる。見た目70歳くらいなのに、なんてゲンキンなんだ。ご飯を済ませて、トイレに立ち、トイレのドアを開けると、中から老婆が「ぎゃー」と叫んで襲ってきた。私も戦慄を覚え、叫ぶ。よく見ると、おばあちゃんだった。おばあちゃんが鍵をかけずに用を足しているところに私が入ってしまったのだ。

出されたご飯はかなり多く、下手物と言われるようなものも、ガツガツ食べた。疲れがたまっていたので、食事を済ませると早く就寝することにした。しかし、寝付けない。だんだん気持ち悪くなってきて、何度も嘔吐してしまった。お腹も下してしまい、さらには、左半身を中心に痺れを覚えるようになった。これはやばい。結局夜中魘されてしまった。老婆の祟りである。

電灯のない街で見る夜空は本当に奇麗で、嘔吐して苦しみながらも、星で埋め尽くされた夜空を堪能した。