6月28日(ハーミー〜敦煌)
朝の五時過ぎにハーミーに着く。朝の五時というと、新疆時間でいうところの3時なので、まだ真っ暗である。まずは、次の目的地、敦煌までの切符を買うことにする。切符はその日の夕方のものを買う。それほどハーミーには滞在しないからである。目指す目的地は二つ、バリコン高原(大草原)とハーミー王の廟である。まずは、バリコン高原に行くために情報集め。周りの町人に話しを聞きまくる。これはドラクエの要領と一緒である。とある町人がいうには、長距離バスと乗り合わせ個人タクシーの二つのやり方があるらしい。この二つは時間と値段の相互性の問題である。時間もないので、少しだけ高い乗り合わせ個人タクシーで行く事にした。タクシーには、現地の公的組織で事務をしているおばさんと、四川と西安から出稼ぎに来たカップルと運転手と私が乗った。その四人で話しは盛り上がる。四川出身のおじさん(36歳)は、かなり反日感情があるらしく、私のことを小日本人と言ってきた。ここで無駄に言い争いはしたくないので、そのまま放置していたが、あんまり良い気分はしなかった。しかし、乗り合わせた人は皆良い人で良い意味での中国人であった。そんな道中2時間半を過ごし、ようやくバリコン高原に到着。標高は4000m級なので、さすがに冷える。ここは、カザフ系民族が多く遊牧しているところで、バリコン県は開拓され、漢民族がまさに移住してきている所だった。タクシーの出稼ぎもそうであるが、あたらしくこの町に移住してきた漢民族は多いようだった。
しかし、問題はここから発生する。時間があまりないのと、各風景区の距離が結構長いので、タクシーを使った方が良いとのことだった。先に乗り合わせた人達がタクシー運転手に向かって、交渉してくれた。300元で行き帰りと風景区をなるべく見せてくれるとの話しに落ち着いたが、私としては高い。しかし、彼らの熱心な交渉と厚かましいほどの気遣いに押され、了承してしまった。ただ、更に悪いことには、車の中でも特にタクシー運転手は、訛りがひどくて、聞き取るのにかなりの労力がいることだ。
それからタクシー運転手と私の二人の道中が始まるわけだが、あんまり聞き取れないので、話しは盛り上がらない。そして、風景区がしょうもな過ぎるほどにしょうもない。例えば、適当に昔のカザフ民族の生活をイメージして、動物の骨(主に羊)のオブジェを辺りに鏤めて、昔の遊牧民族の家を再現しているのには、子供騙しもいいところな出来だった。熱心にこれをカメラに収めようとする中国人観光客の気がしれない。これは絶対的に損をしていると感じたので、なんとも悪いが、途中で運転手と交渉して、途中で街へ引き返し、多少のお金だけを払うことにした。あんまり良い別れ方をしなかったが、お金もそれほどないので、仕方がない。
一人になったので、街を少し散策した後に、ハーミーに戻るバスに乗り込む。バスには色んな人がいたが、その中でも重慶からこちらへ仕事で来たばっかりという漢民族の同性代の男が、私にずっと話しかけてくる。同年代ということもあって、話しは盛り上がり、ハーミーに着いたら、彼らの仲間達と一緒に観光することになった。しかも、全て彼が驕ってくれるということだ。中国人(漢民族)は太っ腹である。
街に着くと、彼らの友人と一緒に街を観光する。ハーミー王廟にも行って、大急ぎで敦煌行きの列車に乗り込む。ハーミーには12時間程度しか滞在しなかった。明らかに時間が無さ過ぎたが、それでも良い人達と出会い、忘れ難い風景を目にし、良い経験をした。
敦煌まで行くのに、まずは柳園で降り、そこから再び乗り合いタクシーに乗る。そこはいちゃいちゃ若者カップルがいたので、車全体があんまりいい雰囲気じゃなかった。ほとんど会話をすることもなく、二時間程度砂漠の中を走り、10時過ぎに敦煌に着く。次々と同乗者が降り、私と運転手二人になると、運転手はとても親切に色々と説明してくれて、安い宿まで紹介してくれた。そんなこんなで個人経営のこじんまりとした宿に泊まることになった。それから夜市に出かけ、敦煌料理を食べて、帰宅して寝る。移動ばかりなので身体には疲労がたまりにたまっていた